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お客様の声 広島大学 井川先生|プレート専用遠心機 PlateSpinU

広島大学 井川先生[プレート専用遠心機 PlateSpinU]

広島大学 井川先生[プレート専用遠心機 PlateSpinU]

広島大学 井川先生
絶滅危惧種のひとつ、イシカワガエルの保全と遺伝的多様性解明を研究テーマとされています。

施設名

広島大学大学院
理学研究科 附属両生類研究施設

施設ご紹介

実験動物として様々な利点を有する両生類を研究材料とし、生命科学上の重要な問題を解明するために昭和42年に創設され、発生、環境問題、種分化、性決定等に関する研究、大学院研究 教育を行っておられます。両生類研究では長い伝統と多くのサンプルを蓄積され、両生類生物学の研究において世界トップレベルの研究環境を整えられています。

所在地

広島県東広島市

大学HP

http://home.hiroshima-u.ac.jp/~amphibia/

 

井川先生から、イシカワガエルのご研究論文をいただきました!

PDF Population structure and landscape genetics of two endangered frog species of genus Odorrana: different scenarios on two islands.
T. Igawa, S. Oumi, S. Katsuren and M. Sumida / Heredity 110, 46-56 (2013)


PDF Isolation and characterization of twelve microsatellite loci of endangered Ishikawa’s frog (Odorrana ishikawae).
T. Igawa, M. Okuda, S. Oumi, S. Katsuren, A. Kurabayashi, T. Umino, M. Sumida / Conserv. Genet. Res. 3: 421-424. (2011)

研究現場でのプレート使用の需要が高まる中、弊社のプレートスピンUは、プレートのスピンダウン専用機として開発され、お客様からもご好評をいただいております。
そんな中、広島大学の井川先生におかれましては、イシカワガエルの保全と遺伝的多様性解明をご研究されており、マイクロサテライトのプライマー開発のため、プレートスピンUでエタノール沈殿をされているとのことでした。
今回は井川先生にお話を伺い、ご研究内容やプレートスピンUのご使用方法などをおしえていただきました。
広島大学 井川先生[プレート専用遠心機 PlateSpinU]

まずはご研究内容を教えていただけますでしょうか?

私は奄美大島と沖縄島に生息するイシカワガエルの保全を目的として研究をしています。イシカワガエルは日本一美しいカエルとして有名で、鹿児島県と沖縄県の天然記念物に指定されています。しかし、同時に環境省レッドリストの絶滅危惧種(IB類)にも指定されていて、保護対策の必要性が叫ばれています。

ところでイシカワガエルの保護と一言でいっても、どれか一つの集団でも残っていれば良いというものではありません。一種類のカエルでも、集団ごとに遺伝的バックグラウンドが異なる場合がある。たとえば同じ島内でも、ある地点と他の地点のイシカワガエルの集団は遺伝的に異なる場合があります。この場合は、それぞれを別グループと考えて保護計画を立てる必要があるのです。

イシカワガエル(両生類研究施設様ご提供)

イシカワガエル(両生類研究施設様ご提供)

そうすると個々の遺伝的バックグラウンドを調べていかなければならないわけですが、具体的にはどのような実験をされるのでしょうか?

生物のDNAの中には、マイクロサテライトと呼ばれる同じ塩基配列が繰り返されている領域があります。この領域での、塩基配列の繰り返し回数、長さと言い換えてもいいのですが、これを測定することにより、遺伝的交流のあるなしを見分けることが出来ます。

さらに詳しく言うと、この塩基配列の繰り返し回数を測定するためには、PCRを使ってマイクロサテライト領域を増幅する必要があります。私の現在の実験は、このPCRに用いるプライマーのセットを作ろうとしている段階です。

先生のところではプレートスピンUを使ってエタノール沈殿をされていますが、今おっしゃったプライマーの開発と、プレートのエタノール沈殿と、どうつながってくるのでしょうか?

プライマーを開発するためには、まず一匹のカエルからいくつものDNAの断片を切り出し、DNAシーケンサーにかける必要があります。場合によっては、数百サンプルくらいシーケンシングしなければならないこともあります。このくらい多サンプルになってくると、どうしてもプレートを使って手早く進めたい。そこで御社のプレートスピンUを使って、エタノール沈殿をしているわけです。


ところでプレートスピンUは最大遠心力1,530xgですが、この程度の遠心力でエタノール沈殿はできるものなのでしょうか?弊社社内では、プレートのエタ沈はもう少し高い遠心力でやるものだという思い込みもあったのですが。

この遠心力で何の問題もないですね。
私の場合、Applied BiosystemsさんのBigDyeTerminator v3.1 Cycle Sequencing Kitをキットを使っており、そのプロトコルに沿ってエタ沈をしています。念のため、購入前にも御社のデモ機を使ってテストさせてもらいましたが、何の問題もありませんでした。

そのほかの事情としては、部屋に冷却遠心機もあるのですがこれは借り物でして、ロータだけ買うわけにも行かない(笑)。プレートスピンUは価格的にも安い(編集注: ロータ込みで220,000円)ので、条件的にちょうど合致したというところです。

細かいことを聞くようなのですが、低い遠心力のプレートのエタ沈を試してみようと思われたきっかけは、何なのでしょうか?

私はもともと広島大学を博士課程を卒業してから、神奈川の総合研究大学院大学に1年間いました。そこではプレートをPCRにかけ、カラム精製してからDNAシーケンシングしていました。それでプレートを使うと大量サンプルを楽に扱えるのを知ったのです。広島大学に戻ってからも、何とかプレートを使って実験できないかと考えていました。

ところでカラム精製は工程が少なく、早くできるメリットはあるのですが、お金もかかるというデメリットもあります。ところがプレートのエタノール沈殿であればとても安くできますし、多少工程は増えるものの多サンプル処理には向いている。それで今回は試してみたというわけです。

なるほど、たいへんよく分かりました。

ひとつ、付け加え忘れました。
先ほど私は、マイクロサテライトを見ることで遺伝的交流のあるなしを調べられると言いましたが、イシカワガエルのような絶滅危惧種の場合、集団によっては個体数が急激に減っているケースがあります。

このような場合、おうおうにして血縁的に近い個体同士が交流していることが多く、その集団の絶滅の危険性は高いといえます。

マイクロサテライトを見ることで、グループの外に対しては遺伝的交流のあるなしを調べることができ、グループの中については、その集団の絶滅の危険度を調べることができる、というわけです。

絶滅危惧種の保全と一言でいっても、いろいろなことを考えなければならないのですね。とても勉強になりました。 ところでプレートスピンUをお使いいただいて、何か不満な点などはございますでしょうか?

そうですね、プレートスピンUを上から見たときに、時間設定の表示で分設定になっているか、秒設定になっているか、LEDが見にくいことでしょうか。上から見ると、分設定をしているのに秒設定に見えてしまうこともあるんですよね。


(最後に) 時間設定の表示について、ご指摘いただきましてありがとうございます。今後の製品開発の参考にさせていただきます。
また本日はお時間をいただき、プレートスピンUの使用方法について詳しいご説明をしていただき、たいへん勉強になりました。
これからもよりよい商品を先生方に使っていただけるよう、いっそう努力したいと思います。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。