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お客様の声 宇都宮大学 佐藤先生 [ シグマ遠心機3-30K、S12158、S12110]

宇都宮大学 佐藤先生 [ シグマ遠心機3-30K、S12158、S12110 ]

宇都宮大学 佐藤先生 [ シグマ遠心機3-30K、S12158、S12110 ]

ご研究内容

電気伝導率の高い銀のナノワイヤーの作製工程をご研究されています。

大学・学科名

宇都宮大学
大学院工学研究科
粉体界面工学研究室

所在地

栃木県宇都宮市

病院URL

http://www.chem.utsunomiya-u.ac.jp/~masa/

 

弊社が扱っているシグマ社製高速冷却遠心機3-30Kは、コンパクト設計の卓上型でありながら、最大遠心力65,403×gで遠心できる特長を持っており、ナノ粒子や塗料などの研究・開発をされているお客様でご使用いただいております。
今回お話しを伺った宇都宮大学佐藤先生は銀のナノ粒子(ナノワイヤー)を作製しており、その作製過程で3-30Kをご使用いただいております。
今回は、佐藤先生に金属ナノワイヤーについて教えて頂き、その中でシグマ遠心機3-30Kがどのように佐藤先生のご研究にお役に立っているのかお話しを聞かせていただきました。

本日はご多用の中、お時間をいただき誠にありがとうございます。まずは佐藤先生のご研究内容を教えていただけますか。

私たちの研究室では無機粉体の合成と表面改質を研究しています。現在は、銀を用いたナノ粒子のマイクロ波加熱による合成とナノ粒子分散液のインクジェット塗布工程を研究しております。

ナノ粒子合成条件を変更することで、球体状やワイヤー状の銀のナノ粒子、ナノワイヤーが作製できます。さらにインクジェットで塗布したナノ粒子薄膜の電気伝導率等の特性を調べております。

ナノ粒子という言葉はよく聞きますが、佐藤先生がご研究されている銀のナノワイヤーとは、どのような用途でご利用になられているのでしょうか。

今のブームは、フレキシブルディスプレイや電子ペーパへの応用です。フレキシブルディスプレイは、プラスチック基板に銀のナノワイヤーをインクジェットで印刷し、ナノレベルの配線を描くことで、配線回路を小さくすることが可能です。
また、銀のナノワイヤーを用いることで、もっと柔軟なシート状のものにも配線回路を描くことができ、色々な物に応用されていくと思います。

なるほど、雑誌などで電子ペーパの記事を読んだことがありましたが、まさか銀のナノワイヤーを使用しているとは知りませんでした。
ところで、先ほど「作製条件を変更させる」、とお聞きしましたが、そもそも、この銀のナノワイヤーは、どのような工程で作製されているのでしょうか。

作製方法は次の通りです。

  1. 銀、エチレングリコール、保護剤を混ぜ合わせて銀のナノワイヤーの原料となる調合液を作ります。
  2. 高出力マイクロ波照射装置に調合液を入れ、マイクロ波で調合液を加熱し、合成を行ないます。
  3. 遠心機を使い、合成液を精製し、銀のナノワイヤーを取り出します。

調合液の割合やマイクロ波照射条件を変えることで、球体状やワイヤー状の銀のナノ粒子が出来上がります。最後に銀のナノワイヤーを専用のパルスインジェクターでガラス基板に印刷して回路を形成し、電気伝導率を調べております。

【実際に装置を使いながらの手順】

(1)

銀のナノワイヤーの原料となる調合液を作成する。


調合した液体調合した液体

 

(2)

調合液を高出力マイクロ波合成装置にセットし、マイクロウエーブを照射し、198℃で2分間加熱・合成します。


佐藤先生がご使用している高出力マイクロ波合成装置は、1500Wの高出力型で、従来のいわゆる電子レンジ型と違い、加温速度が速く、マイクロ波を試料にピンポイント照射できるので、バラつきがない安定したマイクロ波を試料に照射できます。

 

(3)

調合液が加熱・合成により、褐色に変化します。


加熱・合成後の液体加熱・合成後の液体


(4)

加熱・合成した液体をテフロンチューブに移し変え、遠心を行ないます。


遠心操作遠心操作


(5)

上澄みの未反応物・粒子を取り除きます。そこへ純水を加えて、遠心します。この作業を3回から4回行ない、銀のナノワイヤーを作ります。


遠心後のチューブ

(6)

繰り返し遠心させることで、銀のナノワイヤーが作製できます。
調合や遠心条件が悪いと液が分離し、使い物にはなりません。


銀のナノワイヤー

(7)

作製した銀のナノワイヤーは、パルスインジェクターでガラス基板に印刷して回路を形成し、電気伝導率を調べます。


ガラス板に銀ナノワイヤー

なるほど、シグマ遠心機3-30Kは、遠心工程で佐藤先生のお役に立っているわけですね。
ちなみに3-30Kは、どのぐらいの回転数でご使用になっているのでしょうか。

遠心条件は、研究室やテーマごとにノウハウがあるので、一概に説明することはできません。
ナノ粒子に関する文献は、いくつも出ておりますが、遠心条件を細かく書いているものはありません。

私たちの研究室では、同じ試料を使い、遠心条件を変えるテストを行ないました。その結果、低い回転数では、銀のナノワイヤーの他に大きな球状のものが混在していたり、高速回転では銀のナノワイヤーが絡み合ったダマ状になっていることを確認しました。

このことから、銀のナノワイヤーの作製には、調合の濃度、合成の温度や時間以外に、遠心条件も重要であること、必ずしもナノ粒子=高回転・高遠心力が必要でないことが分かりました。

ですから、私たちの研究室は、合成の温度・時間以外でも色々な遠心条件でテストを行なっています。
シグマ遠心機3-30Kは、4000×g、5000×gという低い遠心力から、65403×gという高い遠心力まで遠心できるので、私の研究室ではとても重宝しています。

また、遠心中の温度が高くなると試料に影響を及ぼす可能性があるので、室温程度の温度を維持できるように冷却機能を使用しています。

なるほど、銀のナノワイヤーの遠心工程にはシグマ遠心機3-30Kがまさにうってつけという感じですかね。(笑)

そうです。(笑)
作製する銀のナノワイヤーは、少量であり200ml、250mlのボトルまで遠心できる床置き型の大型高速遠心機まで必要ありません。
50mlぐらいまでのチューブを高回転・高遠心力で遠心でき、サイズ的にも3-30Kがちょうどよかったので購入しました。

私たちの研究室では、3-30K専用の遠心機用机も購入し、使用しないロータ、取説、付属品などを遠心機用机の収納スペースで保管しています。

先ほどの銀のナノワイヤー作製工程で、遠心チューブはテフロン製を使用していると伺いましたが、なぜPPチューブをご使用にならないのでしょうか。

遠心機購入当時は、PPチューブを使用しておりました。
しかし、PPチューブでは、銀のナノワイヤーが容器につきやすく、回収する際にかき出すという、手間が掛かっていました。
テフロンチューブに変えてからは、容器から銀のナノワイヤーが剥がれ易くなったので、PPチューブに比べると回収作業も楽になりました。

今回、佐藤先生のお話を聞き、銀のナノワイヤーを使用したフレキシブルディスプレイなどがもっと身近に触れることが出来る未来が早く来て欲しいと思いました。

そこまで到達するには、ITO薄膜と同じぐらいの電気伝導率をもつ銀のナノワイヤーで作りだすこと、基板に印刷するパルスインジェクターのノウハウを改良していくことが必要になります。
ITO薄膜は、エッチングで回路を作るので、どうしても無駄が多くなってしまいます。その点、銀のナノワイヤーは、プリンタと同じように印刷して回路を作るので、無駄が少なくなり、エコにもつながります。

なるほど、よく分かりました。
一つご質問させてください。シグマ遠心機が佐藤先生のご研究には欠かせない装置であることが分かり、とても嬉しく思いますが、何かご不満な点はございますか。

ロータのバリエーションがもっとあればと思います。2mlでは量が少ない、30mlでは量が多いときもあります。少量で色々な合成を行なっていく上で、5mlから10mlのボリュームのロータがあればよいと思います。

(最後に) 3-30Kで10mlチューブを使用できるアングルロータはございますので、是非ともご検討ください。5mlチューブ用ロータは、今後の商品開発に役立たせていただきます。貴重なご意見をありがとうございます。

本日はご多用の中、お時間をいただきまして誠にありがとうございました。
お話しを伺うまで、すべてのナノ粒子に高回転・高遠心力が必要だと思っていましたが、実は遠心条件もナノ粒子の形体を左右するのに重要な役目があることを知りました。
その中で、シグマ遠心機3-30Kが佐藤先生のご研究に役立っていると聞き、大変うれしく思います。
今後とも何らかの形でお役に立ちたいと考えております。
本日は誠にありがとうございました。