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お客様の声

大阪府立大学 小西先生 [高速冷却遠心機7780、AG-2506]

大阪府立大学

ご研究内容

微生物を利用し、家電製品の廃品などから、レアメタルを効率よく抽出・回収する技術をご研究されています。

研究室名

大阪府立大学
大学院工学研究科
物質・化学系専攻化学工学分野
微粒子工学グループ
小西研究室

所在地

大阪府堺市

HP

http://www.chemeng.osakafu-u.ac.jp/group1/japanese/

 

携帯電話やハイブリッドカーが普及し、これら技術を下支えするレアメタルへの需要・関心が高まっています。
大阪府立大学小西先生の研究室では、廃棄された家電製品などからのレアメタルの回収をご研究されており、パラジウムや白金などの回収においては、非常に高度なノウハウを確立されているとお聞きしました。
小西先生の研究室では、高速冷却遠心機7780をご導入いただいており、微生物やレアメタルの回収にお使いいただいているとのことで、ご研究内容や使用方法について、詳しく教えていただきました。

本日はご多用の中、お時間をいただきましてありがとうございます。まずはご研究内容をお教えいただけますでしょうか。

レアメタルは“産業のビタミン剤”などと言われており、先端材料には不可欠な素材となっています。一方レアメタルの国内消費は、全世界の30%を占めるほど多いにもかかわらず、その供給の大部分を輸入に頼っており、レアメタルの安定確保は国家的な課題ともなっています。当研究室では、家電製品の廃品などからレアメタルを回収する技術を研究しており、よくいわれる「都市鉱山」構想の実現に努めています。

なるほど、とても壮大なテーマですね。ところで研究室のWebサイトを拝見すると、レアメタルを微生物を使って回収されているようなのですが、一般的に金属と微生物というと、いわゆる相性が悪いような印象があるのですが・・・。

たしかに一般的には、そのように考えられがちですね(笑)。廃棄された家電製品からのレアメタルの回収というと、通常は化学的・物理的手法が多く使われます。ごくごく一般的な方法としては、たとえば下図のようになります。

なるほど。時々TVでやっている、炉か何かあって、金の延べ棒か何かを作っている、あれでしょうか?

そうです、そうです。それを微生物を使うと、1ステップででき、なおかつ時間も短く、なおかつナノサイズの粒子まで作ることもできるんですよ。

え?もう少し詳しくお教えいただけますか?

私たちが使っている微生物は、S. algaeと呼ばれている微生物で、一般的には鉄イオン還元細菌と呼ばれており、底泥に住んでいます。今進めている基礎的な実験では、まずパラジウムや白金を王水に溶かし込み、そのpH値を調整します。このパラジウムなどを溶かしこんだ溶液と、S. algaeの溶液とを混ぜ合わせると、微生物の体内にパラジウムなどをどんどん集め、なおかつナノ粒子まで作ってくれるのです。

あとは集めた貴金属を、バルクの状態で回収したいのであれば、混合液を乾燥させ、そのあとに加熱すれば、バルクで回収することができますし、他の方法を使えば、ナノ粒子として回収することもできる、というわけです。

鉄イオン還元細菌S. algaeの写真。(大阪府立大学小西先生ご提供)
鉄イオン還元細菌S. algaeの写真。
(大阪府立大学小西先生ご提供)

S. algaeによる回収実験を行ったところ、細菌の表面にパラジウムのナノ粒子が、高密度・高分散状態で生成されたところ。(大阪府立大学小西先生ご提供)
S. algaeによる回収実験を行ったところ、細菌の表面にパラジウムのナノ粒子が、高密度・高分散状態で生成されたところ。
(大阪府立大学小西先生ご提供)


ナノ粒子は一般的に凝集しやすく、粒子の状態で安定化させるのも、ひとつのノウハウであると伺ったことがあるのですが。

私たちの方法だと、ナノ粒子として回収しようとすると、細胞を壊してやればよい。そしてそこから回収するのですが、粒子は溶液中で安定した状態で保持され、1週間経っても問題ありません。

なぜかと思って調べてみたのですが、ナノ粒子はペリプラズム空間という、細胞の外膜と内膜の間に生成される。ナノ粒子として回収するために細胞を破砕したときに、ナノ粒子の凝集を防ぐ生体物質が溶液中に溶け出すので、ナノ粒子は凝集しないのではないかと考えています。

すごいですね。微生物が溶液中の金属を集めてくれ、なおかつナノサイズの粒子までこしらえてくれるなんて・・・。本当に、生命の奥深さを感じさせるお話しですね。

研究では、すでに基礎的な原理は確立できたので、今は溶液のpHを変えたり、白金の濃度を変えることで、生成される粒径を制御できないかなどを調べています。

また今までは白金やパラジウムの溶液をS. algaeの溶液と混ぜていたのですが、最近はプリント基板を溶かした溶液と、S. algaeの溶液とを混ぜています。プリント基板には銅が多く溶けているのですが、S. algaeはきちんと金のみを選択して機能を発揮してくれました。こういった貴金属に対する選択性も、チェックしています。

なるほど。そうすると基礎研究がひと段落し、いよいよいろいろなアプリケーションを開発されている、という段階なわけですね。ところで弊社の遠心機の方は、どのようにお使いになっていらっしゃるのでしょうか。

バルクで回収するか、ナノ粒子の状態で回収するかによって、後工程が少し異なるのですが、以下の方法で行っています。

@微生物を培養する
A培養液を遠心分離にかけ(AG-2506ロータ、10,000rpm、10分)、微生物を回収する
Bパラジウムや白金を王水に溶かし、pHを調整する
C上記AとBの溶液を混合する
D混合した溶液を遠心分離にかけ(AG-2506ロータ、10,000rpm、10分)、微生物を回収します。

このあと貴金属をバルクで回収したいときは、先ほども言ったように乾燥させ、電気炉で加熱して貴金属のみを回収します。ナノ粒子として回収したい場合は、細胞を破砕し、非常に弱い遠心分離をかけて上澄みを回収します。


細胞を培養されているところ

細胞の培養液を 遠心用ボトルに小分け
グローブボックス内で、細胞の培養液を遠心用ボトルに小分けされているところ。
(大学院生中川様)
微生物が嫌気性のため、グローブボックス内で作業されるとのことでした。


微生物を回収
遠心分離をかけ、微生物を回収されたところ。ボトル底面の赤いかたまりが微生物。細胞内の酵素が赤いため、このような色になるとのことでした。

学生さんを指導されている先生
学生さんを指導されている先生
(右側:小西先生、左側:大学院生堀田様)


実際の操作もいろいろ見せていただき、たいへん参考になりました。ところでレアメタルというと、パラジウムや白金以外にもいろいろあると思うのですが、今後はそちらにもご研究を展開されるのでしょうか。

今はたとえばインジウムなどを実験しています。よくITOと呼ばれる酸化インジウムスズは、導電性があることから、液晶やフラットパネルディスプレイの電極に使われており、非常に応用範囲が広い。パラジウムや白金以外にも成果を積み重ね、いろいろなレアメタルの回収と有効利用を促進したいと考えています。

(最後に)社会的にもレアメタルへの関心が高まる中、いわゆる都市鉱山の試みが着実に進んでいるのをお聞きし、たいへん心強く感じました。
また金属と微生物というと、素人的にはどうしても結びつかない組み合わせですが、ご研究の中で微生物が非常に重要な役割を果たしているとお聞きし、生命の奥深さを改めて考えさせられました。
ご研究の中で、弊社遠心機がお役に立てていることをお聞きし、たいへん嬉しく思っております。今後ともより良い商品をご提供できるよう、いっそう努力してまいりたいと思いますので、ご指導・ご教授のほど、よろしくお願いいたします。