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お客様の声 KUBOTA 遠心分離機

九州工業大学 高瀬先生[4000、ST-2504MS]

九州工業大学 高瀬先生[4000、ST-2504MS]

ご研究内容

新しいセラミックス系高機能材料の設計・合成・デバイス化と、それらの化学センサ・燃料電池などへの応用に関する研究をされています。

研究室名

九州工業大学
工学研究院 物質工学研究系
応用化学科 無機材料化学
清水研究室

所在地

福岡県北九州市戸畑区仙水町1-1

大学HP

http://www.che.kyutech.ac.jp/chem16/

 

環境・エネルギー問題が関心を集める中、新しい燃料電池の開発・量産が社会的にも求められています。
高瀬先生が所属される清水研究室では、触媒をセラミックス系の無機材料に置き換えることで、燃料電池のコストをさげ普及させる狙いでご研究に取り組まれています。
ご研究の内容と、弊社 Model4000をどのような形で使われているのか、お話をお聞きしました。
広島大学 井川先生[プレート専用遠心機 PlateSpinU]

本日はご多用の中、お時間をいただきましてありがとうございます。
まずはご研究内容をお教えいただけますでしょうか。

私たちは、セラミックス系高機能材料を研究しており、その応用分野の一つとして、燃料電池のカソード(空気極)材料、特に触媒の研究をしています。

燃料電池は社会的にも関心を集めている新しい分野ですよね。ご研究の背景を、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

燃料電池は、水素などの燃料をアノード極で、空気中の酸素をカソード極で反応させ、発電する装置です。それぞれの反応が十分に速いと小型で発電量が大きい電池になります。燃料電池を車などに応用しようとすると、あまり高温にするわけにもいかないので、100℃以下で発電する高分子形燃料電池が車載用や家庭用に使われようとしています。しかし、化学反応の速度は温度の2乗に比例するので、温度をあげずに反応を活性化するために、触媒が必要になるというわけです。特に、通常の条件では、カソード反応が特に遅いので、カソードには高活性な触媒が必要です。

触媒上に酸素が吸着し反応しやすい形となり、反応後速やかに脱離すると発電反応が速く進みます。多くの研究者は、触媒の材料として白金を使っています。白金は、酸素が吸着するスピード、脱離するスピードの両方が速く、理想的ともいえる材料なのですが、いかんせん単価がとても高い。そこで、私たちは貴金属ではない元素で構成されるセラミックス系材料、具体的にはマンガンなどの遷移金属化合物を中心に、触媒の設計・開発を行っています。ただなかなか思うような結果が出ず、苦労しているところです。

苦労されているところとは、具体的にはどのあたりなのでしょうか。そしてそれを、どのようなアプローチで克服されようとされているのでしょうか。

先ほどもお話ししたように、白金は吸着・脱離とも、どちらのスピードも反応が速いのですが、マンガン化合物をふくめ、その他の材料は、どちらかの反応が遅いので、それを改善する必要があります。

そこで、酸素の吸着・脱離反応速度を上げることを目的として触媒設計、合成、及び評価を行っています。触媒能を発揮する、酸素が吸着・脱離する場所を、サイトと呼んでいますが、それは触媒粒子の表面に存在しています。単純に考えると表面積が大きくなるとサイトが増え、触媒活性が向上すると考えられます。そのために、粒子を小さくすることで重量当たりの表面積を増やし、少ない原料で働く触媒を得ようとする試みが行われています。

また、一方で、高い触媒活性発現には、サイトの化学構造が非常に重要です。私たちはこの化学構造に着目すると同時に、サイト間の距離にも着目しています。

なぜなら、酸素1分子が1箇所に吸着するよりも2箇所に吸着したほうがカソード反応が進行しやすいからです。実はこの理論でモデルにしているのは、様々な生物の生体内反応です。生体内の酵素を見ていると、サイト間の距離が4Åの酵素は、酸素還元反応が非常に効率的に行われています。私たちは生物の反応を勉強しつつ、高機能材料の設計に取り組んでいます。

なるほど。ご研究内容をとても丁寧に教えていただきありがとうございます。ところで弊社のModel 4000はどのようにお使いいただいているのでしょうか。

研究している触媒の一つにマンガン酸化物があり、その合成プロセス中で使用しています。まず金属塩を溶媒に溶解させ、添加剤を加え、原料を合成します。得られる溶液内では、目的のマンガン酸化物のナノサイズのコロイドの他に、私たちの研究では利用できない粒子サイズが大きなものも生成します。これを遠心分離にかけ、大きな粒子を沈殿させ、上澄みに含まれるコロイドのみを回収しています。

弊社3740本体が使われているところ。

マンガンコロイドの写真


遠心のプロトコルを具体的に教えていただけますでしょうか。

先ほどの水溶液を250mlのボトルに入れ、4000rpmで30分遠心をかけます。この回転数と時間は、いろいろと試してみた結果、これでうまくいくということで行きついたと聞いています。

合成では、マンガン酸化物コロイドが2次元的に平らにシート状に成長するように操作しており、遠心後の上澄みには、それらのシート状の粒子がきれいに分散しています。その上澄みに第2成分である金属イオンを加え、シート状のマンガン酸化物と金属が積層するように合成します。

先ほどサイト間の距離で4Åを狙っているというお話をしましたが、マンガン酸化物シート間距離を4Åとするような第2成分の金属を選択することで、触媒としての活性を高めることができるのではないかと考えています。

弊社3740本体が使われているところ。

電極や電池の電気抵抗を測定する
交流インピーダンスメータ



回収された細胞の形をチェックされているところ。

触媒反応を評価する
回転リングディスク電極装置


(最後に)本日はご多用の中、お時間をいただきましてありがとうございます。ご研究内容を非常に丁寧に教えていただいたので、触媒や燃料電池について、多くのことを学ぶことができました。
今後ともメーカとして、ご研究に役立てる商品を送り出したいと考えておりますので、ご教授・ご指導いただけますようお願いいたします。